西原理恵子『この世でいちばん大事な「カネ」の話』
- 作者: 西原理恵子
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 2008/12/11
- メディア: 単行本
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昔から好きな西原理恵子が書いた、西原理恵子の子供時代から今に至るまでの過程と教訓の本です。漫画以外は読んだことがなくて、漫画もネタばかりなのでどんな内容になるんだろう?、とちょっと不安だったのですが、これが本当に面白く、ためになりました。
本の中で自分が特に印象に残った部分をいくつか書いてみます。
「才能」っていうのは、そんなふうに、自分だけじゃわからない、見えてないものだと思う。自分で「こうだ」と思い込んでることって、案外、的外れだったりするからね。
何でも仕事をはじめたら、「どうしてもこれじゃなきゃ」って粘るだけじゃなくて、人がみつけてくれた自分の「良さ」を信じて、その波に乗ってみたらいい。
これ本当に重要だと思う。自分が知ってる自分ってそんなに正しくないし、知ってることも少ないのに決めてつけてしまうのはよくない。はじめは全然面白くなさそうでも、やってみるとすごく楽しいってことはよくあるもんね。でも僕はそれが分からずに、いつもあっちにフラフラ、こっちにフラフラとしてしまうんだよねぇ…。
わたしが師匠に教わったのは、まず「負けてもちゃんと笑っていること」。これはギャンブルのマナーの、基本中の基本。
…
だから思うんだけどギャンブルっていうのは、授業料を払って、大人が負け方を学ぶものじゃないかな。
ギャンブルって勝ってるときは調子いいこというのに、負けると途端に機嫌悪くなる人が入るんだよねぇ。これは本当に最悪。ギャンブルなんだから負けることがあるのは、当たり前。そしてそれは人生においてもそう。負けたときにふてくされているだけじゃ、まわりの人間も嫌な思いをするし、なにより自分自身がダメになる。負けたときこそ笑って、次に向かえるようになりたい。
人が喜んでくれる仕事っていうのは長持ちするんだよ。いくら高いお金をもらっても、そういう喜びがないと、どんな仕事であれ、なかなかつづくもんじゃない。
自分にとっての向き不向きみたいな視点だけじゃなくって、そういう、他人にとって自分の仕事はどういう意味を持つのかっていう視点も、持つことができたらいいね。
自分が稼いだこの「カネ」は、誰かに喜んでもらえたことの報酬なんだ。
そう実感することができたら、それはきっと一生の仕事にだって、できると思う。
この本で一番グッときたところ。そうなんだよね、仕事に対するやりがいってお金とか技術的な課題とかもあるかもしれないけど、それをすることによって誰かに喜んでもらえるっていうのが一番大事なんだと思う。それは会社の同僚でもいいし、サービスの利用者でもいいし、自分のした仕事に対して喜んでもらえていることを実感できるっていうのが何よりうれしいことだと思う。
正直、最近の仕事はそういうことがあまりなくて、あー何が面白いんだこれ?って考えることが非常に多いので、いろいろと考えさせられます。人に対して積極的にアピールして喜んでもらえるようにする、努力が足りないっていうのが大きいのですが。
この本を読んで、西原理恵子がいままでよりもずっと好きになりました。漫画も好きだけど、人として尊敬します。